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執筆者の写真rika asai

ノンちゃんと命を繋ぐリレー


9月初旬、ボランティア仲間のKさんにより、仔猫に関する一件のSOSの記事がLINEのタイムラインにシェアされていました。


それはKさんが以前里子に出した猫の里親さんである、玖珠に在住のWさんからの発信で、Wさんのかかりつけの動物病院に一匹の仔猫が交通事故で運ばれて来たらしく、その時は瀕死の状態だったそうですが、獣医師さんによる適切な治療が施されたお陰で、後遺症も残らず日に日に元気になりました。しかし救助してくれた人はどうしても飼う事が出来ず、病院が一時的に預かっていましたが、そのまま預かり続ける事はできません。


病院内でその経緯を知ったWさんも、既に家に猫が沢山いるので飼う事が出来ない為、代わりにSNSで預かりさんか里親さんを探してくれていたのです。その投稿をKさんがシェアし、そしてその記事に目を止めたのが、同じくボランティア仲間のYさんでした。するとそのYさんが「私が預かって里親さん探します」と、すぐに申し出てくれたのです。さすがYさん!!


※Yさんは常に猫を保護したり預かれる体制がある訳ではありません。今回たまたま、タイミング的に預かれるとご本人が判断した次第です。


それから、仔猫の体調やお互いの都合を調整しながら、9月下旬にWさんが仔猫を別府に連れて来てくれて引渡しする事になりました。

近所なので私も急遽同行する事に。

仔猫ちゃん、ようこそ別府へ。

キジ白のメス猫ちゃん、生後約2ヶ月。大人しくてまん丸な目が印象的な美猫さんです。


Wさんも、同行されていたご友人も元々は別府の方だと知って、話してみると歳も近く驚く程共通点が次々出てきて少し盛り上がりました。

話も尽きない所で、その後Kさんも合流し、里親さんのキャリーからYさんのキャリーに移し替えて、フードや身の回りのお世話グッズも受け取り引渡しを終えました。

急遽同行したにも関わらず、Wさんからお土産まで頂き、大変恐縮しました。ありがとうございました。


無事に引渡しを終えてWさん達を見送った後、さあ、これから張り切って里親さん探しようね!と3人で意気込みを見せてその場を解散しました。


仔猫の名前はYさんが考えていましたが、玖珠の動物病院で、ノンちゃんと名付けられていたようでした。

家に帰ってノンちゃんの写真を撮ったYさんは、早速タイムラインに投稿。

Yさんは猫繋がりの交友関係がとっても広いです。私が過去に里親探ししてる時も沢山協力してくれました。

するとなんと、早速里親希望の挙手が。

まだY家に来て3時間くらいしか経ってないのに・・・早っ!(笑)



以前、クリリンの里親さん募集を当サイトでアップした時、掲載した翌日に応募があった経緯がありますが、今回はホームページにプロフィールを上げる間もなく更に最短でした。


そして早速、里親希望者さんとYさんが、今後に向けて大切な話し合いを始めました。


仔猫を保護したら、本来なら直ぐにノミダニやお腹の寄生虫の駆除は勿論のこと、便検査、目、耳、口腔内の検査、そして怪我や皮膚疾患など無いか、身体全体の健康チェックを病院で行うのが必須であり基本です。子猫の場合は風邪や下痢などの症状がある子も多いため、通院して薬を処方して貰い、改善に向けてお世話する事が殆どです。


今回ノンちゃんは、これら全てを玖珠の動物病院で済ませてくれていた為、最初の基本的なお金はかかりませんでした。


そしてここからは任意ではありますが、いつも里親さん探しをする時は、エイズ白血病等の感染症の血液検査をして、月齢にもよりますが、出来ればワクチンも打って譲渡するようにしています。


Yさんがこの血液検査やワクチンの件を希望者さんに伝えると、家族として迎える上でそういった事も自分たちでやりたいしこちらでお金を出しますと、本当にありがたい申し出を頂いたそうです。


その後Yさんによって面談や自宅訪問がスムーズに行われ、晴れて正式譲渡の運びとなりました。


譲渡契約の日に、ノンちゃんの新たな里親さんと、前回伝えたワクチンや血液検査、そしてそれ以前に行う基本的な検査にかかる医療費の話になったそうで、そういった事も本来ボランティアが実費を出して里親さん探しをしている事に心底驚かれたそうです。


そしてそんな負担をかけながらも活動をしているボランティアに、里親さんから敬意を評して下さった事を、Yさんが私達に話してくれました。この話を聞いて胸がいっぱいになりました。こういった労いの言葉が、ボランティアにとっては本当に励みになるからです。


ノンちゃんは幸せです。こんな風にボランティアの活動に理解を示してくれる方に里親さんになって貰えて、本当に私からも心から感謝の気持ちを伝えたいです。

家族として迎えられた里親さんに抱っこされるノンちゃん。



いわゆる野良猫は、元はと言えば愛のない飼い主から捨てられたか、身の安全も確保されず、可哀想とか可愛いとか、その時だけの一時的な感情で無責任に餌やりだけして、その結果子供を産み増えてしまった子ばかりです。そんな、何の命の保証もされずに産まれた仔猫が交通事故に遭い、命を落としてしまうのです。



同じように事故に遭って瀕死の状態だったノンちゃんを発見し、病院に運んでくれた人、治療してしばらく預かってくれた獣医師さん、代わりに預かってくれる人をSNSで発信してくれたWさん、それをシェアしたKさんからYさんに届き、そして今回の様な理解ある里親さんに繋がったのです。皆さんの愛ある協力がなければ守れなかった、小さな命を繋げるリレーです。


もう一つ加えると、私達ボランティアの為に今回偶然にも善意の寄付金を下さった方々がいて、里親さんが決まるまで、ノンちゃんの医療費をその中から使わせて頂こうと満場一致で決まっていました。今回はすぐに里親さんが決まってお金はかかりませんでしたが、こういった愛あるご支援も、私達にとっては大きな助けになっていました。


この様に理解を示してくださる方々が、それぞれ自分にできる役割を考えて行動してくれた事による、自主的な協力の集結で猫は救えるのだと思っています。

つまり保護猫活動は、全てが一人一人の善意から成り立っていて、これがボランティア精神です。


でもその一方で、ボランティアという存在は、ボランティアと名が付くだけで理不尽な扱いを受ける事もあります。


保護猫活動をしている人の敷地に猫を棄てて行く人もいれば、人によっては、ボランティアなら猫を引き取るのが当たり前と思われ、何から何まで強引に押し付けられそうになる事例もあります。

完全にボランティアという存在と、ボランティアの意味を履き違えている人が少なからずいるのです。


ボランティアとは本人が出来る事を自主的に判断してやるものであって、出来ない事を人から強制的に押し付けられ、従わなければならない存在ではありません。


いくら保護猫活動をしていても、みんなそれぞれの生活があり、お金にも時間にも労力にも限界があります。それを見極めながら活動しているので、出来ないことは断る権利が当然あって、そして同じ人間なのだから感情もあるし、傷つく事もあれば怒る事だってあります。


特に大分県は、保護猫に関しては行政から何の支援もされず、どうやって猫を保護して里親探ししているのか、その内情が一般的にも浸透されておらず、それが理解が行き届かなかったり誤解される所以なのかなとつくづく思います。



でも今回のように、小さな命の為に善意で動いてくれる人がいる事、支援してくれる人がいる事にどれだけ救われたか言葉では語り尽くせません。

どんなに理不尽な思いをしても、理解してくれて共感してくれる人が味方してくれるなら、また頑張ろうと思えるのです。


保護猫活動は多くの助け合いが大切です。今も新玉旅館を始め、保護猫を抱えて里親探しをしているボランティアさんが沢山います。猫の為にみんなで情報共有し、助け合いながら熱心に活動している本当に尊敬する方々ばかりです。

だから私も、自分の出来ることは精一杯協力していこうと改めて思いました。



今回ノンちゃんの幸せを見届ける事が出来て本当に良かったです。

私は何の役にも立ってないけど、皆さんの愛情いっぱいの連携プレイ、お見事でした。


ノンちゃんに関わって下さった方々、そしてノンちゃんと里親さんの末永い幸せを祈っています。


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