top of page
執筆者の写真rika.asai

ハチワレ仔猫のランちゃんと、猫の優しい世界

9月の終わりのある朝、すぐ近くに住むボランティアさんが家にやって来て、大きなツバの帽子を被り、魚捕り用のタモを持ち「ちょっと今から仔猫の捕獲に行ってくる」と、まるで昆虫採集に行くような雰囲気で出かけて行きました。

行った先はボランティアさんの友人のご婦人が住む某団地。そこで地域猫に餌やりをしているそうですが、この夏に産まれたハチワレの仔猫が、どうやら怪我をしているらしく相談を受けていたようです。


団地住まいの為に猫は飼えないので、本来ならある程度月齢がいけば避妊去勢をして地域猫として管理をする事を勧めますが、怪我をしているなら保護してあげないと、外の世界では危険も多く生きていくのは難しいです。



この日は逃げられ失敗に終わったようですが、その数日後に無事保護する事ができました。

ケージの中で大人しくしているハチワレの可愛い仔猫です。

足を引きずっているようで、動物病院で健康チェックやノミダニ駆除も兼ねて怪我の状態も診て貰う事に。軽い捻挫程度でありますようにと願っていましたが、レントゲンでの診断結果は骨折でした。しかも骨折後かなり日が経過しているようで、手術は出来ないとの事でした。


ボランティアさんは躊躇する事なく自分の自宅に連れて帰り、餌やりさんの代わりにお世話する事を決めました。

推定3か月~4か月ほどの女の子です。ランちゃんと名付けました。



本来この位の月齢なら、もっと色々なものに興味を示し元気に動き回るはずですが、ランちゃんはとても大人しくあまり動こうともせず元気がありません。足が痛むのかな?まだ警戒してるのかな?そう思っていましたが、息遣いがおかしいとの指摘を受け、後日もう一度病院で体の上部までレントゲンを撮って貰ったら、横隔膜ヘルニアが発覚したのです。横隔膜ヘルニアは事故などが原因の場合もあり、きっと足の骨折と同じ時に体の内部にも衝撃を受けたのかも知れません。骨折よりこっちの方が深刻らしく、完治させるには手術が必要だと言われました。


色々話し合った結果しっかり治してあげようという事で、費用は餌やりをしてくれているご婦人が出してくれる事になり、ランちゃんは手術を受けられる事になりました。


手術が行われた日の夕方、ボランティアさんと一緒に面会に行って来ました。まだ麻酔が完全に覚めておらず、小さな体で手術に耐え頑張ったランちゃんは、朦朧とした状態で体を震わせていてとても痛々しい姿でした。餌やりさんやボランティアさんや獣医師さん、みんなが助けてくれた小さな命。しっかり治して、元気になったら里親さん見つけようね。


入院している数日間、ランちゃんは少しずつ回復し、フードもしっかり食べるようになり、思ったより早い退院となりました。暫くは安静が必要でしたが、手術したお蔭で呼吸も楽になったようで、足のリハビリも兼ねて徐々に動き回れるようになりました。




術後のエリザベスウエアを着たランちゃんの隣にいるのは、ボランティアさんの自宅にいる先住猫の茶トラ君、穏やかな性格で人間にも猫にも本当に優しい子です。過去にもボランティアさんが仔猫を保護した時に、この茶トラ君がお世話をしてくれていました。

この寄り添う姿の写真を見て、当時ちょっと落ち込んでいた私は泣いてしまいました。

血の繋がりが無くても、家族の様に支えてあげている猫の優しい世界。とても純粋で、心が洗われる思いです。茶トラ君、ランちゃんを守ってくれてありがとう。


ランちゃんの回復はとっても早く、抜糸後は傷口も綺麗になって全く分からなくなりました。足の骨折の痛みも引いたのか、ジャンプしたり高い場所から飛び降りたり、日を追う毎に元気になっていったのです。餌やりのご婦人もランちゃんの為に、フードや冬用の猫ベッドや猫用の器などのお土産を持参で会いに来てくれます。

近いうちに、この子の母親と思われる猫の避妊手術も予定しています。


保護してから一か月経った現在、警戒心もすっかりなくなり、穏やかで比較的大人しく、でも人懐っこくて膝の上でもゴロゴロスリスリして甘えてくれます。

大人になったらさぞ美猫になるだろうなと思う程、整った顔立ちをしています。


大好きな茶トラ君と一緒に遊びながら、キャットタワーもすいすい上り下り出来るようになりました。足の骨折をしていたとは思えません。


可愛い一面もあれば、キリっとした顔立ちを見せたり。ランちゃんはとっても魅力的な猫ちゃんです。

今、ボランティアさんの自宅で、ボランティアさんや先住猫ちゃんに見守られながら毎日元気に過ごしています。そんなランちゃんの里親さんになって下さる方を募集しています。

名前をタップしたら詳細画面にリンクしますので、是非お問合せ下さい。随時面談受付中です。


私たちは地域猫活動をしていたとしても、救える猫はほんの僅かです。

でもこうやって沢山の人に助けられながら保護できたからこそ、生涯大事にしてくれる里親さんに繋げたいと思っています。そうすればまた新たに、小さな命を救う事ができるからです。



Comments


Commenting has been turned off.
bottom of page