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【新玉旅館】2024年 幸せニャンコ第1号・ミント君

ライブ配信部屋の猫ちゃんではないので馴染みは少ないと思いますが、新玉旅館にはエイズキャリア専用のお部屋があって、そこにミント君という黒猫ちゃんがいます。



まん丸顔で、ちょっと悪ガキの様な風貌の可愛らしい猫ちゃんです。


そのミント君にこの度里親さんが決まりました。里親さんは、ミント君にとってお母さんのような存在のYさん。保護猫活動の経験も豊富で、新玉旅館の女将さんに並ぶベテランさんです。


ミント君は約2年ほど前に旅館周辺に現れた子で、去勢したら地域猫としてお世話をしていく予定の子でした。しかし血液検査の結果エイズ陽性だと判明して、地域に蔓延するのを防ぐために保護する事になった経緯があります。


そんなミント君は、保護当時は人間に一切心開かず、エイズキャリア部屋の同室の猫ちゃんとも距離を置いて、一匹狼のように暮らしていました。


お部屋にあるキャットウォークがミント君のテリトリーとなり、そこから降りて来る事なく、ご飯もお水もトイレもこの場所で済ませ、お世話の為に近寄る度シャーシャー言う子でした。




エイズキャリアの子は免疫が下がらないよう、女将さんは常に目を配らせていて、点滴や飲み薬目薬などを施す事も多い為、このお部屋の子たちは女将さんを怖がっています。この子達の健康の為とはいえ損な役割を担う女将さんです。


そんな時フォローしてくれるのがYさんで、人間は怖くないんだよと言い聞かせるように、夜間にお世話に通ってくれています。月日が経ち、いつしかミント君もこのお部屋の暮らしに慣れて少しずつ心を開いてくれるようになり、やがてYさんの事が大好きになりました。Yさんが来るとデレデレが止まらなくなり、ここまで慕ってくれるミント君を家族として迎えたいと申し出てくれたと、年明けに女将さんが嬉しそうに話してくれました。



譲渡される前に、ミント君にご挨拶しにお部屋に入ったら、彼はいつもの場所にいて


「ミント君」と呼ぶとすぐに立上り、大きく伸びをしてキャットウォークから降りてきてくれました。





そして私の目の前まで来て、とんがった雰囲気を醸し出しつつも「ん…ちょっとくらいなら撫で撫でしてもいいぞ」という仕草を見せてくれたのです。




手を伸ばすと、スリスリゴロゴロと満更でもなさそうな表情で甘えてくれました。






あんなに鋭い目付きでシャーシャー威嚇していたのに、すっかり甘えん坊さんになって、今年の幸せニャンコ第1号だね!とたまらなく嬉しい気持ちになりました。


エイズキャリアの子だって幸せになれるんだと、女将さんと弟の数馬さんが数年前に愛護センターに訴えかけ、殺処分対象だったエイズキャリアの子を譲渡対象に改革させた事例があります。


今、こうしてミント君も幸せを手に入れる事が出来ました。出発の日、「オレ、行ってくるけん」とすんなりキャリーの中に入り、その時初めて、女将さんに威嚇すること無く触らせてくれたそうです。ミント君なりの女将さんへの感謝の気持ちだったのかも知れません。しかも同室の子がみんなキャリーに入ろうとして、「ボクも行ってくるけん」「私も行ってくるけん」と、みんなYさんの元に行こうとしていたそうです(笑)





新玉旅館ではエイズキャリアの子を始め、白血病キャリア、心臓病、腎臓病など体に様々な疾患を抱えている子をこれまで沢山保護してきました。疾患を抱えていても、ご理解頂ける方にご縁があれば譲渡に繋げる努力をしつつも、やはり健康な子に比べると確率が低いのが現状です。


中には病状が重く長く生きられない子もいたり、また、老猫ちゃんが寿命を迎えるなど、日々、生と死の狭間の中で苦労は絶えませんが、この子達が最期まで穏やかに安心して過ごしていけるよう、女将さんは全力を注いでくれています。


いつか待ち受ける辛い現実や、過酷な労力を伴う終生飼育を覚悟の上で、長く活動を続けている女将さんを本当に尊敬します。


その女将さんの背中を見て、こうして身近で手助けしてくれる仲間たちや、ご支援して頂ける皆様のお陰で猫ちゃんたちが沢山救われています。そんな善意の輪を、これから先もずっと大切にしていきたいと思います。


Yさん、この度はミント君を家族としてお迎え下さり本当にありがとうございました。Yさん御一家の末永い幸せをお祈り致します。


ミント君に引き続き、現在トライアルに出ているマオちゃんが、幸せニャンコ第2号になれる事を願っています。

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